バンダイ HG 1/72 メイレスジョウガン改第一回




 最初に告白と言い訳をしたい。
このブログを開設するにあたって自らに課したことは、収益を最大化するためアニメにカネをかけず関連商品も買わないということだった。
開始数ヶ月で映画を一本みており(→機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島)、気づけばその条件をすでに反故にしていたのだがしかし、今も基本的な姿勢は変わらず、許されたい。
そして今回、模型しかも境界戦機プラモを買って「真の日本人」になってしまったことには忸怩たる思いがあったりなかったりするが、これもまた許されたい。

→模型概要
→模型詳細
→ポリキャップ不使用
第二回
→片持ち関節
→1/72スケールの縁(えにし)
第三回
→憎悪と怨嗟、ガンプラファンから恨まれた境界戦機
→バンダイのブランド戦略と流通戦略
→構造改革がもたらす投機的転売

概要
 バンダイ1/72ジョウガン改はアニメ「境界戦機」第一期21話(第二部8話)『動乱の兆し』→第21話|アニメ 境界戦機【BANDAI SPIRITS】 - YouTubeから登場するロボットの模型。
主役ロボット「メイレス」シリーズ三体のうちの一ツで、正面にガトリング砲と防盾を合体できる青い機関砲手ロボット。引きこもりを具象化したデザインが素晴らしい。

 部品枠と部品(ランナーとパーツ)で290g、包装袋込みだと320g、紙箱・説明書込みなら505g。正価2,500円(税込2,650円)。部品数165点、シール一枚、組立約60工程。対象年齢15才以上、接着剤不要。私有品は2022年5月製。

同社が1985年に発売した1/144百式(というロボット模型がある、Zガンダムに登場)は袋込み110g、箱200g、部品数74点+ポリキャップ15点、デカール一枚、接着剤つき、正価600円だった。
同社が1999年に発売した1/144モビルカプル(∀ガンダムに登場)では袋込み90g、箱150g、正価500円。部品数45点+ポリキャップ18点、シール一枚。接着剤不要。
同社が2018年に発売したHG1/144フェネクス/デストロイモード/ナラティブVer. (ガンダムNTに登場)では袋込み310g、箱500g、正価2,800円(税込3,080円)。部品数228点+ポリキャップ37点、シール一枚、接着剤不要、対象年齢8才以上。

模型も時代も変わった。模型を買ったのは、付録等ではなく単体で買ったのは二十年ぶりだ。

詳細
・接着剤不要。1990年代以降同社は模型製作における問題であった有機溶剤を遠ざけることを、プラモ開発の基本コンセプトにしてきたらしく、接着剤も塗料も使わず一通り仕上がる。
・各部品は色分けされ、一部シールを貼ることで塗装しなくてもほぼ作中の姿を再現できる。*私有品には貼っていない。
・反面、各部品が色分けに沿って分割されているため、組立て工程が煩雑。ただそれは欠点とは言えないかもしれない。
・必要な工具はニッパ、カッター(切出小刀等より文具のカッターが望ましい、刃が薄いからだ)があれば組める。さらに#800~#1500くらいの紙やすり、金工やすりがあれば便利だがなくても組める。

 模型には特徴のガトリング砲のほか携行短機関砲二挺がつく。
・六砲身ガトリング砲は回転し、ロボット本体と脱着可能。背側には大きなドラム弾倉があり、設定とやや違う方法であるものの防盾と連結する。そこ以外は設定通りのようだ。
・両肩の装甲板は多軸関節で自在に動き、防盾と連結するが、凹凸などがなく稜線を合わせるのみ。ここも設定通りのようだ。
・携行短機関砲なるものはイングラムM10やM11という実在した機関短銃によく似ている。設定通り防盾裏に収納できる。ガトリング砲と違って砲口が開口されていないため極細ドリルを用意されたい。
また作中に描かれた膝の予備弾倉収納部は再現されていない。



・肩周りの関節軸は四ツ、特徴の大胸筋シリンダが連動して前後(内・外旋)約70°、上下(内・外転)約170°とよく動く。止まるんじゃねえぞポーズも容易だ。
・腹の関節軸は三ツ、そのうち一ツが横断面から仰角20°に傾いており、それを前屈させると関節軸が直立してお辞儀できる。反面、上体を反らして胸を張る姿勢ができない。やはり引きこもりデザイン。
・関節軸が概ねφ4mm。他の模型ではφ2.5mmやφ3mmが主流。この点で境界戦機プラモは他製品と互換せず一部に評判がよろしくない。しかしこれに合う軸受け部品も存在する。後述→1/72スケールの縁(えにし)

・ロボットの手は、握った拳と平手、銃を持つ手三種が左右一対、計六個付き、差し替えられる。
・頭の一部にヒケ(成形不良)がある。目(にあたる部分)は透明部品。画像内の緑矢印部品にも可動軸が設けられているがどんな役目かわからん。

・スライド金型(プラスティック成形におけるやや特殊な製造法)で一体成形された部品や、設計変更した跡がランナーに見られる。
・湯口(ゲート)は部品の端、金型分割線上にある。今だに部品の裏にゲートを設けていないのは少々意外だった。部分的にでも導入できると思うのだが、成型不良を起こすのか、どこかが特許を押さえているのか、敢えて残して模型の楽しみを残しているのか。
・材料はポリスチレン(PS、スチロール樹脂)で一般的なプラモ用。プレコンシューマ再生材に思うが、ヴァージンプラスティックに近い軟らかな感触がある。ABS樹脂やポリプロピレンにも似た感触。

なんとポリキャップを使っていない。
やや軟らかな材料のおかげか、組立て後一ヶ月、今のところ適度な摩擦を保ち快適に動く。
ポリキャップはロボット模型の関節部に仕込む軸受けのことで、軟らかいポリエチレン製で回転軸を挟んで適度に摩擦を保つ。他の産業分野で使われるポリキャップとは異なる。
それ以前の模型では、軸受けが摩滅して弛くなり、ロボット模型が重力に従って糸が切れた操り人形のように倒れたり腕がだらりと下がったりした。
以下次回→ジョウガン改第二回
→ジョウガン改第三回
関連記事
→境界戦機第一期第一部
→境界戦機第一期第二部
美しい歌だと感じる。
Uru「フリージア」の楽曲(シングル)・歌詞ページ|1004194727|レコチョク

2023年4月現在ジョウガン改の在庫がない。ガトリング砲がお得な模型ではあれど、不人気コンテンツなのにまさか売れているのか!?


バンダイスピリッツ 1/72 境界戦機 HG03 メイレスジョウガン | ヤマダウェブコム

改修前のジョウガンにはガトリング砲ではなく二連装狙撃砲が付く。