ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

 「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する」略称「ルプなな」は企画構想と作品制作がずれていそうなアニメ。TOKYO MXAT-XBS11で放送中、dアニメストア、U-NEXT、アニメ放題、Hulu、スマートパスプレミアム等で配信中。

7話までみた。やがて暴君となる皇帝に嫁ぐ主人公が、嫁ぎ先の国内の貧困問題に取り組むなど改革を進め、もって侵略戦争を防ぐ話。
主人公は数回転生して人生をやり直しており、今生で夫となる皇帝は、六回めの人生で主人公を殺し、他の人生でも死因となる戦争を惹き起こした人物。

 たぶん企画コンセプトは、恋愛と個人崇拝が似ていることを利用し、暴君に庇護される主人公が強権的政治を後押しして、夫に逆らわず従うのが賢いと暗示し独裁者を待望する作品になる予定であったが、実際に作られたアニメでは、主人公は夫の権威・権力をあまり利用せず、前世で得た知識と経験で改革を進める話となって、独裁者を待望しない展開になった、のだと私は思っている。

 私の記憶が確かなら、食糧問題への言及が作中になかった。
貧困から脱け出し所得を増やした人々が、食糧を買えるようになれば、食糧需給が逼迫する(マルサスの罠)。その国の食糧生産高が頭打ちなら、食糧と農地を求めて侵略戦争を始めかねない。
それを避けるには農業投資を行って品種改良や農作業の効率化などを進めて土地生産性を上げるか、産児制限するか、外貨を稼いで食糧輸入する(ただしリカードの罠が発生する)必要があるのだが、このアニメでどうなるかは今のところ描かれていない。
開戦する段になって初めて食糧問題に言及するのかもしれない。
※2024年2月21日追記:貧困対策したために戦争へ至る展開なら、視聴者は貧困対策に否定的な感情を持つよう促される。となれば、企画構想と作品制作がずれている、という評は外れることになるだろう。