葬送のフリーレン

 空が広く、旅するアニメ。
日本テレビBS日テレで放送中、dアニメストア、Hulu等で配信中。

7話までみた。5話あたりまでは過去を訪ね歩いて、なんとなく後悔していること、気にかかることをゆるやかに解きほぐしてゆく話だが、以後は異能力バトルものになる。

なお主人公は容赦なき主戦派。敵は人間のような姿をして人語を解するが、人間をおびき寄せるために声まねをしているに過ぎず、人類と対話できないと設定されている。
ゼロ年代ころまでは敵とも対話できると主張する作品が多かった印象があるが、特殊詐欺(オレオレ詐欺)が跋扈し続け、サイコパスのほうが経済的に成功できるなどと囁かれる現況を反映したかのような設定だ。

 このアニメは構図に注目されたい。キャラクターの後ろに背景画を敷いているのではなく、背景の中にキャラクターが置かれている構図が多く、画面の向こうに世界が広がっていると感じさせる。



ブルバスター

 原状回復できるかもしれないアニメだ。
TOKYO MX、カンテレ、BS日テレで放送中、Leminoで独占配信中。
福岡県北九州市が協力、またカラオケジョイサウンドとタイアップ、2023年11月11日から2024年2月10日まで、オープニング/エンディング主題歌(アニメサイズ)の映像付き配信、PV映像配信やJOYSOUND曲間CM配信などが行われている。

8話まで断続的にみた。離島に怪物が発生し、零細企業がロボットをもってそれを駆除する話。
怪物発生は公表されず、公権力ではなく私企業が対処する。その事情には、零細企業の発注元が離島に設置した化学プラントが関係するらしく……発注元企業は零細企業を合併吸収することを打診する。

 零細企業がロボットを持てるのか? と言えばそのロボットは重機のようなものであり、兵器ではないリアルロボットアニメ。
 このアニメには(今のところ)思春期世代が登場せず、主客層を社会人に設定していると考えられる。
登場人物が迷う局面はあるものの、決断することなく自分探しに没入したりせず、みていてだれることがあまりない。
ただし主人公は迂闊、ときに幼稚である。対照的に6話から登場する出向社員は、機械的に物事を考える合理的な人間なれど性格に難があり本社から厄介払いされた人間だった。

 この種の社会不適合者すれすれの人間とも折合いをつけていくことが現代日本には求められている。少子化を改善できず、外国人労働者も受け入れたくないとなれば、従来見捨ててきた日本人も労働力とするか、労働の自動化・機械化を進めなければならなくなったからである。

労働の機械化を進めるには人件費上昇が有効だが、財界・産業界が政府日銀に通貨供給量を倍増させながら労働分配率を上げなかったため名目賃金が横ばいで実質賃金が下落、労働の機械化技術開発より人間を低賃金労働させることが選好されてきた。低賃金労働で新興国に敵うはずがない。
結果、購買力が低下し、日本市場は投資対象として魅力が低下、もしくは不動産投資へ偏り、資金流出が起きやすくなった。日本市場に価値があるなら資金が流出せず国内へ再投資され、円安がつねに抑制され円高傾向になる。
産業界は市場価値低下と資金流出により実現した円安に依存し、円高でも売れる製品を開発せず・できず、日本製と新興国製を見分けられなくなると予測できる。

 さて、現実の日本では搭乗型ロボットが開発されている。開発企業は従業員25人以下、資本金一億円以下の中小零細企業だ。
欧米ではボストンダイナミクスに代表される自律制御ロボット開発が主流なのに対し、日本で搭乗型(他律制御)が開発されているのはアニメの影響と言いたいところだが、責任問題から人間に運転させていると解釈するのが正確なところだろう。
ロボットに関してはまだ日本製と他国製を見分けやすいようである。




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ミギとダリ

 不自然なことを自然に為すアニメ。TOKYO MXBS11サンテレビで放送中、AmazonPrimeVideo、dアニメストア、Hulu、U-NEXT等で(現時点で)配信中。

7話までみた。双子の孤児が一人の人間を装って養子となり、双子がバレないよう養家で暮らす話。
食卓で食事する際、養父母の隙を突いて食卓の下に隠れる兄弟と入れ替わって食事するなど、絶対バレると視聴者が思うところなぜかバレずに暮らす。

双子のウソが露呈しないのは、周囲の善意によってなのか御都合主義か、わからないまま物語は進み、双子の目的が亡母の復讐であることが視聴者に告げられて、物語が次の段階へ移ったことを知らされる。

 面白さを定義すれば、その一ツは時空間の共有になるだろう。登場人物と視聴者が同調しているとき、我々は面白いと感じる。
このアニメは、視聴者がいつの間にか双子のウソの共犯者になってしまうことで同調し、面白さを演出していると考えられる。



鴨乃橋ロンの禁断推理

 大いなるギャグアニメだ。KBS京都サンテレビTVQ九州放送静岡放送等で放送中、Hulu、U-NEXT、NETFLIX等で配信中。

6話までみた。天才ながら社会不適合者である探偵が鮮やかに事件を解決する推理もの、なのだが、演出の方向がギャグ。
深刻にならないように配慮された、というよりこの作品が目指すテイストがTVドラマ「TRICK」だからではないかと思う。

その試みの成否と、私の推測の正否については読者諸氏で確かめられたい。主人公は奇人変人であるし常軌を逸した事件もあるが、アニメ自体は視聴者を選ばない(ターゲット層が広い)方向を目指しているらしく、みやすいものである。



好きな子がめがねを忘れた

 眼鏡を忘れただけで話を続けようとするムチャなアニメ。略称「好きめが」。
TOKYO MXMBS等で放送され、U-NEXT、dアニメストア、hulu等で配信中。

全話みた。眼鏡をよく忘れて登校する少女と、その様子を見守り手助けする少年を描く。これだけで話を続ける。
 このヒロイン観察ラブコメをどう評すればよいのか、私はその言葉を持たないが、主役二人と周囲の日常を3話くらいまでみ続けられれば最後までみられる。そしていいアニメだったかもしれないなどと思うだろう。



Lv1魔王とワンルーム勇者

 「Lv1 (レベルワン)魔王とワンルーム勇者」は常識的なアニメ。カンテレ、BS日テレ等で放送中、dアニメストア等で配信中。

11話までみた。1話をみた際には、またつまらぬアニメをみる修行が始まってしまった……と感じて2話をみなかったが6話になって戻ってきたら面白そうになってた。

 うだつの上がらない独居中年のもとに肥った子が訪ねてくるところから始まる。
中年は若いころ勇者で、魔王を倒して英雄と持て囃されながらも異性関係など醜聞がばれ、今は木造アパートで暮らしている。
そして訪ねてきた子は、我は復活した魔王なりなどと言い出す。
落ちぶれた中年と、復活して一からやり直す低レベルな幼い魔王との共同生活を描く。
勇者の昔の仲間は、今は敵味方に別れて対立し、国家間戦争にまで関わる。

 剣と魔法のファンタジーと、現代日本社会を混合したマンガ的な世界観でありながらも、このアニメは常識的。
落ちぶれたとはいえ主人公の勇者は社会を屈服させられる力を有している、にもかかわらず土下座してまで謝る。その常識的な社会によって落魄させられたにもかかわらず、社会を破壊しない。

ある種のマンガ・アニメの特徴は、非常識なことをやっても正当化もしくは責任追及されない点にある。
その特徴を捨ててしまった常識的で地に足が着いた、少々世知辛いアニメ。その点で若年層ではなくおっさんおばさん向けアニメ。


全巻購入特典が呑み屋に貼られたポスターみたいで実におっさん向け

アンデッドガール・マーダーファルス

 大正・昭和初期に流行したエログロナンセンス小説が復活したかのようなアニメ。
関西テレビ北海道文化放送テレビ西日本、BSフジ等で放送中、dアニメストア、U-NEXT、Hulu等で配信中。

7話までみた。探偵もの、だが怪物専門などと称する首だけの探偵とその侍女、半鬼半人の弟子が欧州で活躍する怪奇譚。
時代は19世紀末、鬼や吸血鬼といった人ならざる者が珍しくない伝奇的な架空の時代、生首の女探偵が、自分の身体を探して怪物絡みの怪奇事件に首を突っ込み、解決してゆく話。

 たぶんこのアニメ、中味が無い。「ルパン三世」作者モンキー・パンチは自作をして「教えられるところがない(教訓や説教はない=純粋な娯楽作)」と評した。それに類する作品に感じる。
このアニメの吸血鬼編には人類と共存する穏健派吸血鬼が登場したりするが、人類愛を説くような話ではなかったと記憶している。

なおこのアニメにはアルセーヌ ルパンが登場、さらにホームズも登場すればオペラ座の怪人も登場、女吸血鬼カーミラも魔術師アレイスター・クロウリーも連続殺人鬼切り裂きジャックさえも登場する。いずれも19世紀~20世紀初頭に書かれた小説の登場人物であるが、クロウリーとジャックだけは実在した。

 弟子の半鬼半人は真打津軽(しんうち・つがる)を名乗る。なぜに辺鄙な青森県津軽地方の名を冠したかは知らぬが、同地方には鬼を祀る鬼神社がある。