境界戦機 第二部


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 「境界戦機(きょうかいせんき)」第二部は、愛国者に絶賛されるはずなのに、相変わらず非難され、ついには(現実の国際情勢の観点からみて)綱渡り状態に至りながらも話題にもされず忘れられているアニメだ。そして、制作会社が債務超過に陥ったアニメだ。→境界戦機第一部
第一期第一部から三ヶ月経って第二部放送開始。テレビ東京BS11等で放送中、また公式サイトで配信中。6月最終週つまり今週に最終回放送・配信。

 24話(=第二部11話)までみた。経済破綻寸前となった日本が四大経済圏に分割占領されてから十数年後、独立復権派が武装抵抗している、という話。作中では第一部から八ヶ月後の設定で始まる。
第二部の敵役は米国を模した勢力「北米同盟」。それでまたまたネトウヨから攻撃され、親中親ロアニメなどと言われる有り様だ。第一部で主人公らは中国やロシアを模した勢力と戦ったというのに……などと思っていたら、その独立復権派が北米同盟を除く他三勢力(中ロ豪を模している)と結託して自治組織「新日本協力機構」を新潟に樹立した(20話=第二部7話)。

 その米国を模した勢力の内部事情として、撤兵論者と思しき議員が、軍の日本駐留継続に疑問を呈し兵器開発予算削減も提案し、対する軍人側が彼の失脚を画策する場面がある(16話=第二部3話)。
その議員は日本の左派にとってなかなか有利なことを言う登場人物で、ネトウヨからは嫌われそうなのだが、ふしぎなことに彼に賛同する視聴者が多数いる、ネトウヨ優勢なSNSでだ。
しかも、主人公が属する武装抵抗組織が戦闘するたびに、いくら戦闘を繰り返しても日本解放にはつながらない、という避戦・反戦的意見も増える。

放送されるたびに反ネトウヨ的意見発生を促す境界戦機こそは日本人をネトウヨの病理から解放するアニメだと期待している。が、実際の投票行動には反映されず、相変わらずネトウヨ議員が当選するのではないかと案じている。
というのも、それらが冷笑と群集心理に基づく行動に見えるからだ。このアニメが批判されているから、攻撃してもいいと判断しているように見える。
このアニメに関わるインターネット界隈での評価は、Amazonカスタマーレヴューを含め批判的意見が大勢であるから、その場に受け入れられようとすれば、大勢に迎合して発言する(他人の尻馬に乗る)ことになり、群集心理が発生する。

 これは投票直前に新聞等が発表する予想得票数に左右される有権者と同じ状態にある。このアニメの主人公も、状況に流されて武装抵抗運動に参加し、その場のいきおいで威勢のいいことを言ったりしていた。

 私はいまも、このアニメは最後に自主憲法を制定してネトウヨと保守派議員から絶賛される、という境界戦機第一部のころと同じ予想をしている。北米同盟に依存する傀儡の日本政府より、棄戦条項(憲法九条)を持たない主人公側が、作中の民衆から支持される、というネトウヨ好みのラストになると予想している。
ただ、その敵役が米国を模した勢力だから、ネトウヨの中で混乱を来しているのだろう。おそらく制作者側がネトウヨを見誤っているのだと思う。日本を愛しているとかではなく、強者の論理を振りかざしているだけなんじゃないだろうか。

 さて、このアニメが企画された時期が2019年~2020年ころらしいのだが、2019年9月、当時の政権が東方経済フォーラムで「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。」(→令和元年9月5日東方経済フォーラム全体会合 安倍総理スピーチ)と演説している。
先立つ2016年12月には日ロ経済協力で北方四島周辺に約3000億円拠出することが決定されている。18話に登場した、ロシア人将校による日本人保護区は、このような政策を反映した描写と考えられ、やはり政権を支持するネトウヨアニメ。
同プロデューサによるゲーム「鉄血のオルフェンズ ウルズハント」は宇宙の辺境にある地域が観光立国を目指すという、インバウンド需要増加を実績とする安倍政権に呼応するかのような内容であるし、やはりネトウヨコンテンツ。

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