道産子ギャルはなまらめんこい

 北海道入植者を増やして北の守りを固めんとする国策が絡んでいそうなアニメ。
テレ東、テレビ北海道BSテレ東で放送中、dアニメストア、U-NEXT、Hulu、ネットもテレ東等で配信中。
札幌パルコ7階で2024年2月12日までPOP UP STORE開催中、2月11日13時30分〜14時30分、さっぽろ雪まつりステージイベント開催予定。

4話までみた。北海道北見市、そこはしばしば最低気温を記録し、NHK全国区天気予報でも表示される土地だ。
冬の北見市に東京から転居した主人公が地元ギャル女子高生と出会う、というボーイミーツガールアニメ。

 観光アニメながら、思い出したように地元紹介をするくらいでその側面は小さく、女子高生とイチャイチャするアニメである。

風除室が描かれていなかったような気がするが、最近の北海道住宅にはあれが無いのか。





姫様“拷問”の時間です

 なんだこのバカアニメ……いや細やかに作られた、食べるバカアニメ。
TOKYO MXBS11関西テレビNBC長崎放送テレビ北海道にて放送中、Hulu、auスマートパスプレミアム、U-NEXT等で配信中。

4話までみた。題名に反して和やかに責められる姫様を剣になって見守るアニメだ。
ダンジョン飯と同じく、おいしい食べ物には人が寄ってくる、というある同人誌展示即売会代表の言葉を思い出す。即売会空間の特異性とかではないのか……
 食欲など誘惑に屈し続けてしまう食べ物アニメなので、なにか食べながらみたらいいと思う。



姫様“拷問”の時間ですに関連する商品一覧 - honto本の通販ストア
姫様“拷問”の時間です prime video :Amazon.co.jp

同類アニメ
魔王城でおやすみ prime video :Amazon.co.jp
(声優が)関連アニメ
ゴールデンカムイ(第一期)オーディオコメンタリー版prime video :Amazon.co.jp

ダンジョン飯

 中身があまり無いが、丁寧に作られているアニメ。
TOKYO MX (再放送あり)、とちぎテレビ奈良テレビ放送びわ湖放送岩手朝日テレビ、TSKさんいん中央テレビ、熊本朝日放送テレビユー福島山梨放送北陸放送、テレビせとうち、信越放送新潟放送等々で放送中、Hulu、TELASA、U-NEXT等で配信中。
本年1月30日から総合スーパー「イオン」(北海道・沖縄を除く)にてキリンビバレッジまとめ買いキャンペーン開催。

5話までみた。剣と魔法がある中世欧風ファンタジー。主人公らは冒険者集団で、宝探しのために地下迷宮(ダンジョン)へ潜って食糧を現地調達、地下に巣食う魔物を食べる話である。

 うまい食べ物があれば人が集まってくると言われるが、作中で魔物を食べているのは主人公達くらいで、(今のところ)ダンジョン飯に寄ってくる人はおらず、主人公は変わり者である。実際魔物を偏愛している。
その変人(二人いる)に付き合わされる仲間の姿をみて楽しむアニメ。

 たまにもっともらしいことを言ったりするが基本的に中身があまり無い──主人公のダンジョン踏破は目的意識に欠けている──ので、作品のテーマ性より丁寧な作りに感服する。
動機付け設定として、主人公の妹がダンジョン深奥にいる竜に喰われ、救出するために繰り返し探索する設定もあるが、最終的な目標ではないことが4話で触れられる。

 1話最後で吊るされた死骸がどうなったか2話冒頭で場面を差し挟んでいたらもっと丁寧な作品になっていた。死体回収屋がいて蘇生魔法もある(主人公も死んだ経験があるらしい)という設定を説明しているものの、その実際を描くと作品世界の存在感が増す。
ともあれ、みていて愉快な、おそらく万人受けするアニメである。



勇気爆発バーンブレイバーン

 監督の好みが乱入してくるアニメ。TBS系28局で放送中、U-NEXT、Hulu、auスマートパスプレミアム等で配信中。

3話までみた。リアルロボットとスーパーヒーローロボットを組み合わせた深夜放送ロボットアニメ。
1990年代のロボットアニメ──勇者シリーズ(1990年~1998年)やエルドランシリーズ(1991年~1994年)の影響が色濃く、トランスフォーマーシリーズ(1985年~)のようでもありまたエヴァンゲリオン(1995年~2013年)やガサラキ(1998年~1999年)の影も見られる。

 監督(1966年~)はアニメータ出身で1980年代後半から活躍、1990年代以降、監督も務める。
後述する2作品を除き、私はその作品群を断片的にしかみたことがないが、パロディ要素が見られ、とくに2000年代の監督作品には彼の好きなものしか登場しない世界という印象があった。趣味が合う者には好かれるが、他にとっては興味の埒外にあり、ともすれば嫌われる。かといって他人の好みを投入したらよくなる保証も無い。
このアニメの前年に発表された同監督作「ガンダム ビルドメタバース」と「境界戦機 極鋼ノ装鬼」でその印象が変わる。しかしそれらはふつうの、一般的な、佳作ではあれど同監督の特徴が後退したロボットアニメになっていた。

 今回は彼を客観視する世界から始まり、そこへ極めて主観的な趣味の塊を投入して、客観的な世界と主観的な存在との軋轢を生じせしめ、せめぎあう。
 主人公は客観する側にいて、主役ロボットに乗れる主人公特権を与えられながら負担を強いられ、ロボット搭乗をためらい避ける。
眼前の窮境に際して逡巡する主人公は疎ましく感じるものだが、この主人公には同情できるからふしぎだ。陰鬱な雰囲気の作品ではないけれども主人公だけは陰鬱である。

 なお同名の栃木県小山市「開運戦士ブレイバーン」Braevurnや洋菓子店ブレイバーンBRAE-BURNも実在しているが関係は悪くないようである。




境界戦機 極鋼ノ装鬼

 極鋼ノ装鬼(きょっこうのそうき)は。境界戦機の続編にあたる短編アニメ。YouTubeバンダイチャンネルほかにて2023年8月~10月に配信され公開中。→境界戦機 極鋼ノ装鬼【全6話 一挙配信中】 - YouTube

全話みた。境界戦機シリーズは、日本が経済破綻寸前になって国外から支援されるうち占領され、その日本を取り戻すため武装闘争するロボットアニメ。
今回の極鋼ノ装鬼では、南海の孤島で武装抵抗組織と他国軍との戦闘を描き、そつなくまとまった小品。作品世界が連続しているが第一期の登場人物は登場しない。

 私はこの作品に不満がある。第一期にみられた触媒作用(とでも呼ぶようなもの)がみられない。
あのアニメをみた人々は、右派が優勢な今日にあって、右派が否定し左派が肯定してきたことを言い出す現象がみられた。

例えば、日本を武力闘争で解放しても、内在する諸問題が解消・解決されない→暴力では解決しないのだと、SNSで「暴力はすべてを解決する」という言葉が流行するなかで指摘される。
中国を模した勢力が日本人を拉致して人身売買するという、右派が嬌声を上げて喜びそうな話も(5話)あまり評判が芳しくなかった。

例のおにぎり百円セールも(同じく5話)、あれはありえないと散々揶揄されたし私も首を傾げた。
だが再考すると、あれはデフレが病気と唱えるアベノミクスの主張を反映したと解釈できる場面であり、境界戦機はアベノミクスが行われなかった日本を描いていると解釈できる。あの場面がありえないなら、つまり円高デフレを続けて経済破綻しないならアベノミクスが不要だったと結論できる。
境界戦機アンチ(概ね自民党支持層)も左派と同じく、喧伝されるアベノミクスの成功に欺瞞と不安を感じていたのだろう。

 およそネトウヨ好みに作られたであろう第一期第一部はしかし、境界戦機ファンにもアンチにもネトウヨ的言説を否定させる言葉を言わしめた。左派がしようとして出来なかったことをあのアニメは難なくやった。
だがこの触媒作用は、狙って出たものではないだろうから、それらをもって極鋼ノ装鬼の評価を下げようとは思わない、むしろ初めて触れる境界戦機アニメにはこちらを薦める。 また三期制作の折りにはそんなことをあまり気にせず制作されたいと思うものである。

 なお境界戦機第一期第二部では主人公側は中国・ロシア・豪州(或いは太平洋島嶼国)を模した勢力と結託して新潟に拠点を定め、米国を模した勢力と対決したので、さらに批判されている。
もっとも日本は古来、日本海交易(環日本海経済圏)で賑わってきた国であり、ネトウヨが大好きな戦前も大東亜共栄圏構想も日満支ブロックも太平洋側に主眼を置いていない。



川越ボーイズ・シング

 寓話のように誘導されるアニメ。TOKYO MXBS11テレ玉で放送、dアニメストア、Hulu、U-NEXT、スマートパスプレミアム等で配信された。

全話みた。失職した音楽家が少年合唱団を結成、コンクールで優勝を目指す話、なのだがその音楽家がトンチキな天才で、彼に合わせているうちに、ずれていた少年らが重なってゆく話。

 この多少ヘンをアニメをなんと評すればよいか実のところはっきりしないのだが、団員を怒鳴りつけて従わせる話ではないので、(昨今の社会政治状況から)好みが分かれると思われる。

 題名通り埼玉県川越市を舞台に、当地の産品を一話一品紹介しながら活動する観光アニメでもある。が、Blu-ray / DVDが発売中止になるなど不遇なアニメだ。

1話と最終話に登場する「だんぼっち」が実在する商品で、主人公のあだ名にもなっており、販売元も協力している。ただエンディングには別のダンボール会社名が挙げられていて困惑する。どういうことなんだ……
2024年1月22日追記と訂正:ちゃんと社名が挙がってた……



同じく川越を舞台にした「月がきれい」も売れないアニメだったらしいのだが、これをみた視聴者が自身の思い出を語るほど丁寧な作りで、もっと評価されていいアニメ。
月がきれい prime video :Amazon.co.jp

ポーション頼みで生き延びます!

 ポーションpotionとは、薬一服ぶんのことで、ファンタジー世界における飲み薬全般(毒含む)を指す。それを使って転生先の異世界で生き抜こうというアニメ。テレビ朝日、BSフジで放送され、dアニメストア、Hulu、 TELASA、U-NEXT等で配信された。

全話みた。異世界転生の特典いや補償として、自在に薬を作り出す能力を与えられた主人公が中世欧州風異世界で生きる話。
主人公は女性、王侯貴族に取り立てられる機会を得るが、封建制下における女性の地位について嫌味と皮肉を言って断り、市井へ戻る。
 神に与えられた特殊能力を持ちながらひっそり生きたい、というのが彼女の望みで、これはオタクの感性に寄った性質であるからよく観察していると感じる。

 原作者が「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」と同じなので主人公がまたぞろ猟奇的なことを言い出すんじゃないかと思っていたが、そこは抑制的だった。