老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

 先進国になった日本の衰退を予兆させるアニメ、と同時に侵略者に好かれそうなアニメ。
朝日放送テレビBS11等で放送中、dアニメストア、DMM TV、U-NEXT、AbemaTV等で配信中。

11話までみた。
異世界へ自由に往来できる能力を与えられた主人公が転売……貿易業と縁故主義で儲ける話。もちろん異世界には王侯貴族がいて、その技術水準は現代日本を下回る。また川魚はいないようだ。

 発明・改良・生産ではなく転売と労働搾取に商機を見いだすしか能が無くなった日本にふさわしいアニメ、と思いながらもなかなか楽しんでみられる、が、終盤になって取って付けたように戦争が始まって、作者の意図が反映されているであろう主人公の主張が侵略者や帝国主義者のそれだったことがわかる。たぶん強姦犯にも通ずる観念を持っている。
(アニメではなく現実において)旧日本軍と自衛隊は違うとか、三光作戦なるものは中国側が呼称するものであって日本側には無いとか言い訳されてきたが、そんな言い訳を覆す主張でもある。

ただし主人公は作中では侵略される側として描かれ、被害者であればあらゆる加害行為を正当化できる、という主張を強く発している。

仮想敵国へも輸出すれば、賛同者が現れたと歓迎されて儲けられるだろう。

だが、現実の仮想敵国は中世風異世界ではなく、このような作品は役立たずだ。それがなぜにわざわざアニメ化されたのか考えれば、戦争は目眩ましのようなもので、租税回避地を国内のどこかに経済特区と称して設置したい願望が反映されているのだろう。もしかしたらもっと近視眼的な利益追求かもしれない。

もちろん私は大金持ちが逃げ出すくらいの累進税制が良いと主張する側だ。代わりに経済格差を是正して小金持ちを増やせば貨幣の流通速度が上がる。

 転売とコネで儲ける話だからネトウヨ及びアニメオタクには嫌われるはずだが(ついでにアフィブログも嫌われている)、これは人気があるらしく、案外彼らも転売やコネで稼ぐことに肯定的なようである。
もっともこのアニメの主人公が行う転売は、現在頻りに非難される投機的転売や、幕末及び大正年間に米騒動の原因となった買い占め転売よりも貿易業に近く、販路を拡げる転売である。ただ適正価格かは甚だ疑問がある。