エスタブライフ グレイトエスケープ


 「エスタブライフ グレイトエスケープ」は外界への希望を抱いて脱走するアニメだ。
フジテレビ、北海道文化放送等で放送中、映画とゲーム発売が予定されている。

7話までみた。東京の各区が都市国家となって、互いに交流することなく独立している、という世界設定で、各区間密入国いや密入区を支援する逃がし屋の話。
脱出を依頼する理由はさまざま、他人からは賛同しがたい場合もあれど、そんな他人の目に囚われず、依頼人のために主人公ら逃がし屋が奔走する。
夜逃げを手伝うのだから深刻な話かと思えば、登場人物がだいたいポンコツでギャグアニメだった。

 さて、これは逃げることを肯定する、という構想で製作されている。
TVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」のテーマは「逃亡」。監督を務める橋本は、「逃げることは悪いことじゃない。無理してやる必要はないし、逃げた先にも新しい人生が生まれるかもしれない。“逃げる”という言葉にはマイナスイメージがありますが、それをプラスに変えていく」と志を語る。→「普段あるものが何ひとつ参考にならない」弐瓶勉の世界観をアニメにする難しさ(イベントレポート) - コミックナタリー
逃げてはならない、と他人に吹聴して、倒れるまで重圧に耐えさせたり争わせたりできるのだから、自己責任論と同様この言葉は抑圧や搾取に利用できる。
もっとも、このアニメにそのような描写はほとんど無い。

 前回「パリピ孔明」で書いたように愛国心を自慢し、保守政党への忠誠を表すネトウヨが溢れる今日、大好きな現代日本から連れ出されて(日本から追い出されて)異世界に安住したり征服したりする、という小説やアニメが流行るところに、ネトウヨ現代日本では成功できないことを直覚し、その生活にストレスを感じていることを見てとれる。
これに対し、このアニメはネトウヨ擁護になるだろう。

また「自由」には越境する性質があり、ヒトには移動する性質がある。逃走にせよ開拓精神の発露にせよ、未来に期待する者(≒若者)は未知の荒野を目指す習性がある、という反論もできるだろう。
しかしこのアニメ、不評である。


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