AIの遺電子

 SF短編集のようなアニメ、そしてSFがサイエンスフィクションであると同時にスペキュラティヴフィクション(思索的物語)でもあることを思い出させるアニメ。
MBS、TBS、BS-TBS熊本放送で放送中、U-NEXT、dアニメストア、Hulu、auスマートパスプレミアム等で配信中。
本年8月27日18:00~19:00に振り返り生配信→https://youtube.com/live/qvp9kphgSw8?feature=share予定。

7話までみた。人間とロボットの中間的な「ヒューマノイド」が存在する未来、ヒューマノイドを治療する医者を主人公にして、未来技術がもたらすさまざまなSF的事象、市井の人々の地味な日常生活の中で起こる事象をオムニバス形式にしてみせる。

人々の生活と未来技術の間に発生する愛着・協働・反発・軋轢を描き、犯罪は描かれないのだが、ただ主人公の母親だけは収監されている。罪状は自分を他のヒューマノイドにコピーしたこと、人格複製は犯罪に利用されるため禁じる設定がある。
そして主人公には、複製された母を探すため闇医者を行う裏の顔がある。

 その母親探しを物語冒頭で説明したのち、別の物語を続けて母親探しを先延ばしする物語構成。
これは作品を延命させる長所であると同時に、中だるみしてしまう短所でもある。
また作中ヒューマノイドの設定をほとんど説明しないので困る。ヒューマノイドとは別にロボットが存在し、前者には人権が認められ、後者には人権が無い、という設定。
構想と設定は興味深いがアニメとしてはあまりおもしろく感じない。かといって戦闘場面を挿入したらおもしろくなるわけでもないような気がする。

※2023年9月23日追記:本年10月7日開催、事前申込制
→Cinema未来館「AIの遺電子」~ロボットとの未来、日常、そして葛藤 アニメーション上映+トークセッション | 日本科学未来館 (Miraikan)

原作漫画は第21回(2017年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。