時光代理人 -LINK CLICK-


 「時光代理人 -LINK CLICK- (じこうだいりにん -リンククリック-)」は、誰も救えない、けれどもしかしたら望みがあるかもしれないアニメだ。

TOKYO MXBS11等で放送中。

 

8話までみた。写真を通して他人の記憶に潜りこみ、その人生を追体験する、という特殊能力をもつ青年二人が、企業情報を得るために、伝えらなかった言葉を伝えるために、誘拐された子を探すために、さまざまな依頼を受けて写真の中に潜りこむ。

しかし過去を見られるとしても変えることはできず、誰も救えない。が、8話では誘拐された子を見つけて、初めて変えられるかもしれない話になった。

 

 アニメの絵コンテとマンガのコマ割りは似て非なるものに思う。しかし日本のアニメでは、登場人物が台詞を言うだけで顔をアップにするなど、マンガのコマ割りに影響された絵コンテが目立つ。

このアニメではそれが少ない。登場人物が話すときには、その立ち位置がわかるレイアウトで話し、空間を感じられるようにしている絵コンテに好感をもつ。その空間のなかで登場人物が会話し動き回ることで(或いは動き回らずに)、マンガ的絵コンテとは異なる方法で表現している。

視聴者は傍観者でもあって、その傍観者を画面内に引き込む方法として有用ではないか。

 

なお、このアニメは中国製である。


夢野久作「瓶詰の地獄」は三通の手紙から成る短編小説。傍観者である読者は小説内の出来事を変えられない、そのことを活かした構成である。ちょっとこの短編を思い出した。