虚構推理シーズン2

 題名に推理が入っているが、真実を追求するというよりは、もっともらしい嘘を言って関係者をなんとなく納得させようという、品性に欠けるアニメ。
2020年第1四半期に1期が放送され、現在2期がTOKYO MXBS日テレ、アニマックスで放送中、dアニメストア、Hulu、U-NEXT等で配信中。

2期6話(通算18話)までみた。片眼片足を代償に智慧の神にされた隻眼隻脚の主人公が、妖怪や物の怪から難事解決のため相談される、という伝奇ミステリ。

 推理ものは民主主義でなければ成立しない、と言ったのは坂口安吾だったか半村良だったか、独裁者や警察が権力を専横的に振るい、事実を曲げて人を罪に問えるなら、冤罪の恐怖をもって人民を支配できる。そのような体制下では真実を追求する推理ものは成立しない。
ところが、このアニメには人間社会の権力が及ばぬ妖怪や幽霊が登場して、事件の謎をあっさり解明してミステリを崩壊させる。
その解明が世間には伝わらない・伝えられないため、世人の口の端にさまざまな憶測がのぼる。すると多数の思いが実体化して新たな妖怪を生み出す。それを防ぐべく妖怪や幽霊がいない虚構の推理を語って……騙って事件を収束させるという、虚構と推理の意味を解体しそうな、ややもすれば事なかれ主義に堕してしまうアニメ。

 冒頭で品性に欠けると評した点について追補足したい。
人形のような美少女が登場し、育ちの良さを匂わせながら、憚りあることをその可憐な口で言う場面がたびたびある。
その美少女が品性に欠けるのであって、このアニメ自体は上品であろうとする印象がある。