ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

 寓話のようなアニメですわ!
TOKYO MXMBSBS11で放送中、dアニメストア、U-NEXT、アニメ放題、Amazon Prime Video、Hulu等で(現時点で)配信中。
小説を原作とし、マンガ化、舞台化もされた。

11話までみた。ファンタジー世界の中世・近世風帝国で革命により断頭台に立たされた皇女が、死に際に過去に戻って人生をやり直す、転生ものの一種。ファンタジーだが魔法や魔物は出てこない。

戻った皇女は革命へ至る道筋をことごとく避けて自身の運命のみならず帝国財政をも好転、「帝国の叡智」と慕われ、聡明慈愛博愛と讃えられるようになる。ところが近隣諸国で革命が起き、またしてもギロチンが彼女の周りをうろつくのであった……

 従来の物語様式なら皇女は改心して心優しき人格者となるのに対し、このアニメでは改心せずあくまで保身と利己主義から善政を行う、という喜劇である。
革命を避ける方法には恐怖で民衆を抑圧する恐怖政治もあるが、皇女はそれを思いつきもせず、利己的ながら善性を有し、ある種の理想である。
そしてその理想的存在は謀略を暴いて自分のみならず他者をも救う。

といってもアダム=スミスの「見えざる手」──個人が利己的に行動したとしても世の中がよくなるという仮説に基づいているわけでもないらしく、自由市場や自由資本主義を礼賛する場面もほとんどない。これはやはり喜劇として作られている。

だが6話を過ぎるまで私は面白く感じることがなかった。革命を避けて安堵した物語中盤以降、前世で起こらなかったことが起き、そこからは面白く感じる。